ジョキンズ

感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。

Interview

医療従事者インタビュー

教えて、並木さん!

Vol. 04
「感染しない生活スタイル。」

感染管理の専門資格である
感染管理認定看護師である並木弥生さんに
家庭での感染予防のあり方について聞いてみました。

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並木 弥生

Yayoi Namiki

1991年より看護師として都内病院に勤務。2008年に感染管理認定看護師(ICN:Infection Control Nurse)の資格を取得。感染管理の広い普及のために、感染対策に関する様々なセミナー・講演会にも登壇。40歳を越えてからトレイルランニングをはじめ、100kmを超える山道を走破するタフなレースに挑戦。ヨガ講師の資格も取得するなど、健康的な心と体、生活のあり方を考えることはライフワークとなりつつある。

2019年7月5日(金)

vol. 04最終回

感染しない
生活スタイル。

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感染予防の知識、
家の中でも、山の中でも役立ちます。

看護師という職業柄、トレイルランニングの仲間からも、いろんな質問をいただきます。
消毒のことや、傷の手当てのこと。他にも、服が臭くなっちゃうのはどうしたらいい?とかも。
あたたかくて濡れた状態というのは、一番菌が繁殖するんですね。洗濯物が臭くなっちゃうのも菌が原因。たとえば、飲食店で出されるおしぼりが臭いことってありませんか?おしぼりはあたたかくてウェットな状態なので、菌が繁殖しやすい条件ピッタリなんですよ。
臭いということは菌がいるということ。あ、臭いなと思ったら、気をつけてくださいね。

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ノロウイルスにかかった時の
お洗濯ってどうしたらいい?

お洗濯の方法などもきかれますね。用途ごとに覚えておくといいかなと思います。
たとえば、ノロウイルスの場合は、家庭でやるのは難しい。病院だとノロに感染した人の衣類やリネンは80度以上のお湯で10分以上洗うというルールがあります。でも、家庭では温度や時間をはかるのもたいへん。私は簡単に汚れを落として、ふつうに洗濯機で洗濯する。最後に高温のアイロンをかける。コレですね。
ハイターにつけたりする方が確実ですが、適切な濃度を守ることもむずかしい。菌を殺すために、強い洗剤を使った場合はそれが人体にも強い影響を与えるものが多いので、強ければ強いほどいい、とは思わないほうがいいかと思います。ジャストな濃度で使ってくださいね。

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本屋さんのあとは手洗い。バスマットは使わない。

お本屋さんに行って立ち読みしたりしても、そのあと手を洗います。
バスマットは使っていません。
濡れたままのバスマットをそのまま床に放置してしまうと菌が増殖しやすいので、毎日洗わない場合は、使わないという選択肢もアリかなと思います。キッチンマットは300円ショップに売っているものを、汚れたら捨てるというふうに使っています。
ホットカーペットの上のカバーも、表面がツルツルしている拭けるタイプを選んでいます。
家事はサクサクやりたいタイプなので、家のなかの感染管理も効率重視で考えていますね。掃除しやすい、過ごしやすい、使いやすい。マイペースにあわせて考えてみるといいと思います。

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インフルエンザなどの感染症が
こどものいじめにつながらないために、
私たち大人ができること。

最後になるのですが、ひとつ伝えたいことがあります。

小さなこどもを持つお父さんやお母さんに、感染や菌やウイルスのことをもっと知ってほしいなと思っているんですね。
たとえば、小学校でインフルエンザに感染した子が、完治して登校したときに「バイキン、汚い」「触るな、感染る」とか言われてしまうかもしれない。いじめにつながってしまうかもしれない。
たとえば「お友達は汚くないんだよ。ウイルスにかかちゃって、お熱が出てたんだけど、ウイルスとはバイバイして、元気になったんだよ」ときちんと話してあげれば、そんなことは起こらないかもしれない。
菌やウイルスはどういうものなのか。子どもたちにきちんと語りかけていく。それが、大人としての役目かなと思います。
私も感染管理認定看護師になって10年。英語の論文読解に悪戦苦闘したり、まだまだ未熟な私ですが、あきらめずに粘り強く、コツコツやっていきたいと思っています。

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