ジョキンズ

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2019年9月5日(木)

「ペット」×「感染」の新感覚 ショート・エッセイ

「私は愛犬家である」

大学教授 K 氏の場合

は愛犬家である。
ただ、嫁に言わせると自分の都合に合わせて散歩したり、しなかったりで,「あんたは犬を飼う資格なし!」とバッサリ切り捨てられてはいる(涙)。

愛犬マロンはジャックラッセルテリアの女の子で、生後3ヶ月でウチに来てから15年が経つおばあちゃん犬だ。

出張で留守の場合を除き、夜は私がマロンを散歩に連れていく。
嫁は私が気分次第で散歩を怠けたりすると思っているようだが、私は密かにマロンとアイコンタクトして
「今夜どうする?」 「ダルくね?」
などとコミュニケーションをとり、結果、「パパ、ぐだぐだ言ってないで行くよ!」
と、マロンに尻を叩かれて家を出るといった具合だ。


この15年間、大病もせずに元気に暮らしているのは、程よい運動をさせてくれているマロンのおかげかもしれない。 そういう意味では、私がマロンにお散歩に連れて行ってもらっていると言えるし、多分、嫁は本気でそう思っている。

夜の散歩には、私とマロンしか知らない秘密のコースがいくつかある。

「今夜はどっちにする?」
とアイコンタクトしながら、毎晩ふたりで決めている。
コースが決まったら、それぞれが自由にやる(笑)。
マロンはクンクンしながら自由な歩調で歩き、私はその歩調にリードを合わせ、自由に考え事(妄想)をして、ついて行く。

厳格な愛犬家からすると「躾がなっていない!」と怒られそうだが、 マロンはママには厳しくされているので、私との関係はこれでいいのだ(笑)。

ただ、感染対策を生業とするものとして、注意していることもある。
散歩の際、自由にさせているとは言ったが、何をクンクンしているかは、さりげなくチェックする。特に他の動物の排泄物らしきものには絶対に鼻先を接触させないようにリードをコントロールする。
動物の排泄物には、おなかの虫(回虫、鉤虫、鞭虫など)の卵が大量に存在することがあるからだ。愛犬家の中には、自分の口を愛犬に舐めさせたり、口移しで食べ物を与えたりする人がいるが、絶対にしてはならない。同様に愛犬をなでまわしたりした後は、必ず手洗いもすべきだ。

をこんなに汚いモノのように扱う人が「本当に愛犬家か!?」と言われそうだが、寄生虫が人にも感染することを知っておくべきだと思う。
犬や猫からの人の感染は回虫では、回虫幼虫移行症と言って、回虫の卵が人の体内に入り、孵化して幼虫が体内を這い回る。最後は眼に移動して(!)、網膜炎を起こすこともあるのをご存知だろうか。
想像もしたくないホラー映画のようなことも実際に起きている。犬や猫を愛する人は感染でかわいいペットたちを遠ざけることにならないように日頃から注意して欲しい。 それに、犬や猫の口の中には非常に高い確率(犬:75%、猫:100%)でパスツレラ菌という菌がいる。その菌が原因で人がパスツレラ症を発症することがある。風邪のような呼吸器症状や、傷から皮膚が化膿したり、重症化して敗血症になることもある恐ろしい感染症だ。

「私はこれまで愛犬に顔を毎日ベロベロされているが、病気になったことはない!」
という愛犬家の方も多くいらっしゃると思うが、感染の成立には本人の免疫力も大きく影響する。ご家庭に赤ちゃんや幼児、高齢者のように抵抗力が低い家族がいる場合は特に注意して欲しい。
あなたは大丈夫でも、まわりは大丈夫じゃないかもしれないし、
そして今は大丈夫でも、将来のあなたが大丈夫かは分からない。

どいようだが、私は愛犬家である。このコラムも愛犬からの感染恐怖を煽ることが目的ではない。むしろ長く一緒にいたいからこそ、その同じ思いを持つ愛犬家の皆さんに、正しいことを知ってもらいたいのだ。
私が仕事から帰宅してもわざわざ「おかえり!」と言いに来てくれるのはマロンだけだ(涙)。本当に愛しい。

もうおばあちゃんだけど、いつまでもそばにいてくれ、マロン。散歩コースも俺たちだけの秘密だ。いつも妙にこだわる電柱のことを知っているのも俺だけだ。
Love you, Maron ❤️