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Interview

医療従事者インタビュー

教えて、黒須さん!

Vol. 07
「“外国人” になって、初めて見えたこと。」

感染管理の専門資格である感染管理認定看護師であり、感染制御学の博士。 海外での活動経験もある黒須一見さんのインタビュー連載第二弾。 最後となる第7回目のテーマは、「 ”外国人” になって、初めて見えたこと 」。 ベトナムで自分が ”外国人” になった実体験から、感じたことを語っていただきました。

profile

黒須一見

Hitomi Kurosu

感染管理認定看護師 国立国際医療研究センター 客員研究員 1990年より看護師として勤務。2005年に感染管理看護師(CNIC:Certified Nurse in Infection Control)の資格を取得。2008年から5年間大学院に通い、修士・博士課程修了。2017年から2019年にかけて、ベトナムの医療施設において感染に関する運営管理・管理能力向上支援プロジェクトに参画。

2020年9月4日(金)

vol. 07最終回

“外国人” になって、初めて見えたこと。

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ベトナムではじめて「外国人」になって思うこと。

ベトナムに来て、住んで働いてみないとわからないことがたくさんあるなと思いました。自分が「外国人」になったことで、日本での外国人の受け入れに関して未整備であることにも気づくよいになりました。

日本にいる日本人の考え方だけで物事を決めたり進めるのではなく、外国人の視点も含めて考えてみることが大事だと思うように。私は東京出身なので、都庁に勤める同級生もいるのですが、延期になりましたが、オリンピックのことなど、自分の実体験を友人たちにも話したりしたいなと思っています。

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結核患者10倍のベトナム、実習生の健康に関する問題。

いま、日本にはたくさんのベトナムの技能実習生が来ていますよね。実はベトナムは結核患者が日本の10倍なんですけど、現地で感染して、日本にきて発症する人も多いんですよ。

もっときちんと検査してあげなきゃいけないし、サポートしてあげなきゃいけないと思います。健康あってこその、実習であり仕事。日本側にもできることはたくさんあると思います。


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海外に出てから、日本語の大切さに気づきました。

「黒須さんは昔から活発だったんですか?」と聞かれることもありますが、幼い頃の私は病弱な子どもだったんです。高校の時に大きな病気をして、一学期まるまる休むようなこともありました。それで医療の道に進むきっかけになったんですね。

そうした生い立ちもあるかもしれませんが、本をよく読んでいました。読書の習慣がいますごく役立っているなと思います。
通訳さんをつけてもらっていても、日本語力がないと他の国の言語に置き換えるのって難しいんですよ。
「ベトナムにはその言葉がないです」って通訳さんに言われて別の言葉を探さなければいけない。その時、日本語力の大切さを実感します。
小さい頃から本を読んでくれた母親に今すごく感謝していますし、お子さんがいらっしゃる方には、ぜひ本の大切さを教えてほしいと思います。

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日本に憧れをもってくれているベトナムの人々。

ベトナムにきて、日本人に外国人を優しく受け入れてほしいなと思うようにもなりました。
とにかくベトナムには日本人に憧れを持っている人が多いです。日本製品への信頼もすごいんですよ。

「なぜそんなに日本の製品がいいの?」と聞くと、安心だし安全だからだと。
こんなに期待されているんだから、これからも安全で確かなものをつくっていかなきゃいけないなって思いますよね。ものづくりの人でなくても、恥ずかしくない仕事をしなきゃという刺激をもらうのではないでしょうか。
もちろん、私もその一人です。

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より国際化が進む未来、私たちにできること。

まだ、世界中で新型コロナウイルスが猛威を奮っていますが、2021年にオリンピック開催となれば、外国の方と接する機会も増えると思います。ところが、日本人は忙しいしまじめだから、ぱっと見冷たく見えてしまうことがあるようです。

確かに、英語で話しかけられるとびっくりしちゃうし、英語が苦手だとコミュニケーションも萎縮しちゃう。言葉は通じなくても、歓迎の気持ちを示すとか、笑顔でほほえむとか、できることは実はたくさんある。外国の方は、自分に興味をもってもらっているとわかると嬉しいんですよ。日本全体であたたかく迎えてあげられるといいなぁと思います。
これで私の回は終わりです。
最後まで読んでくださりどうもありがとうございました!

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