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2021年3月24日(水)
2020年の年末には「イギリスで新型コロナの変異“種”が発生した」と報道されていたはずなのに、
いつの間にか変異“株”と呼称が変わったことに、お気づきの方もいるのではないでしょうか?
そうです、変異”種”と変異”株”とは、異なるものであるにも関わらず、
誤った呼称で報道されたケースがたびたび見受けられました。
今回流行しているのは、新型コロナウイルスの変異“株”であって、変異“種”ではありません。
変異”種”と変異”株”、どう違うのか、気になる方もいらっしゃるかと思いますので、
今回は簡単に紹介させていただきます。
そもそも突然変異というものは、すべての生物において起こりうるもの。
ただ、変異“株”と変異“種”では変異の程度が違います。
「 突然変異はすべての生物において、遺伝子の複製過程で一部読み違えや組み換えが発生し、遺伝情報が一部変化する現象です。
この中で新しい性質をもった子孫ができることがあります。この子孫のことを変異“株”と呼びます。
変異株は変化した遺伝情報の影響を受けた一部の性質が変化していますが、もともとの生物の種類は変化していません。
この場合、同じウイルスの複製バージョンに過ぎませんので、ウイルスの名称は変化しません。
しかしながら、極まれに近縁の生物種の間で多くの遺伝子の交換(組み換え)が起きると、
2つの生物種の特徴を併せ持った新しい生物種が誕生することがあり、その場合には変異“種”と呼称します。
この場合、新型のウイルスが誕生することになるので、新しいウイルスの名前が与えられます。 」
つまり、変異株は「同じウイルスだけど新しい性質を持ったもの」。
そして、変異種は「突然変異で新しい別のウイルスになったもの」となります。
新しい変異株のニュースも連日報道されています。
英国に続き、南アフリカ、ブラジル。従来よりも感染力が強く、急速に拡大するリスクがあると言われています。
国内でも、その広まりは連日報道がある通りです。
ただ、変異株についても未解明なところも多い現状ですが、これまで通り、手指衛生・マスク・換気・密をさける行動など、
一人ひとりが冷静に行動することが最大の感染対策であることに変わりはありません。
「 新型コロナウイルスのスパイクタンパクにN501Yという特異な変異が起こり、 宿主細胞への感染力が強くなったという性質の変化がありますが、 元来もっていた新型コロナウイルスの基本的特性はほとんど受け継がれておりますので、 依然として新型コロナウイルスのまま 」
また日本感染症学会は、今回の名称の誤用に関しても警鐘を鳴らしています。
「 今回の新型コロナウイルス感染症では、これまでにも感染者や医療従事者に対する様々な差別が起きており、 新型ウイルスが発生したかのような用語を用いることは、今後に新しい差別を引き起こす可能性もあります 」
あやふやな情報やイメージは時に人を不安にさせます。それが差別や偏見につながることもある。
逆に言えば、一人ひとりが正しい知識を身につけることで、余計な不安や偏見などを食い止めることができます。
ささやかではありますが、力になれるようにこれからも発信し続けていきたいと思います。
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<参考文献>
日本感染症学会 – 【重要】変異「種」の誤用について(報道機関 各位)
https://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=221