感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。
医療従事者インタビュー
教えて、並木さん!
感染管理の専門資格である
感染管理認定看護師である並木弥生さんに
家庭での感染予防のあり方について聞いてみました。
並木 弥生
Yayoi Namiki
2019年2月21日(木)
私の仕事は感染管理認定看護師といって、院内感染を防ぐための専門の看護師です。
だから、時々まわりの人にきかれるんですよ。
「インフルエンザの予防接種、いつ打ったらいいの?」
「子どもが感染したらどうしたらいい?」とかね。
感染予防は難しくないんですよ。基本は手指衛生。
でも簡単なことほど、難しく、なかなかできないのが人間。ちゃんと手洗いしてくださいねとか、風紀委員のように言いまくっているので、並木さん=注意しにくる人、と思われているかも。
でも、嫌われてもいいから、しつこく言う。
それが患者さんのためであり医療に関わるみんなのためだと信じてやっています。
感染症が発見されたら、緊急コールが鳴ります。
たとえ、お友達とのランチ中でも抜け出して現場へダッシュ。状況を確認して感染経路をあきらかにする。
手すりやテーブルなど疑われる箇所を拭き取り、培養して、菌がどこから検出されたか調べることも。
「あ、ココから感染したんだ!」という感染経路を細かく特定して、再発防止策を打つ。
かれこれ10年以上やっているで、ここがあやしいなという勘ドコロがわかるようになってきました。
それって、家庭でも一緒だったりするんですよ。
原因の多くは人間の「手」を経由したものです。
私は、電車で人間ウォッチングするのが趣味なのですが、誰が触ったかわからないつり革や手すりを握った手で、目をこすったり、鼻をかんだり、お菓子を食べたり…無意識のうちに手はいろんなものを触っているんですね。
感染は粘膜からおこるので、口、目、鼻は要注意。知らず知らずのうちに、菌を粘膜に運んでしまっているわけです。
だから、感染管理でいちばん大事なことは、手指衛生。
基本の徹底なんです。自分はちゃんとしてても、電車の中のくしゃみや咳を浴びるのも怖いですよね。
欧米では咳エチケットって一般常識なのですが、日本では平然と「ハックション」ってやっちゃうおじさんも多い。飛沫は2m飛ぶって言われていますから、近くにいる人は注意。マスクがなければハンカチで口を押さえて防御ですよ。
細菌やウイルスがどこから検出されたか追跡したり、日頃からやってることもあって、家でもうるさく言っちゃうんですよ。
「こらー!ちゃんと手を洗って!そんな時間でちゃんと洗えるわけないでしょ?ちゃんと石鹸でしっかり!」と。
男性でもいたりしますよね。帰ってきてすぐに冷蔵庫あけてビールとか取り出す人。
いろんなものを触って付着したて手で触った冷蔵庫の取っ手、次に触った子どもにうつっちゃうよ!なんて思います。ちょっとしたことなんですが、リスクは何気ない日常に潜んでいるんです。
感染管理認定看護師になる前は、私もそうだったんですよね。手洗いもちゃんとできていなかったし、家の中もぜんぜん違った。
たとえばお風呂。子ども用、自分用、いろんなシャンプーやボディーソープをたくさんそろえているせいで、掃除がおいつかず、ボトルをひっくり返すと、裏はヌメヌメ。茶色くて丸い輪っかの水垢がついている、みたいな(笑)
カビやホコリって感染と関係あるの?と思う人もいるかもしれませんが、ありありなんですよ。
たとえば、空気中に舞った細菌やウイルスって、下に溜まるんです。カビやホコリとからまることも多く、不衛生な環境だと感染もおこりやすいんですね。
感染管理を徹底することで掃除もできるし、断捨離もすすむ。家事もショートカットできるし、忙しい人にこそトライしてほしいですね。
(Vol.02へつづく)