感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。
JOKIN’S presents スペシャルインタビュー
教えて、
厳しい勝負の世界に携わる
プロフェッショナルの観点から
感染対策もふくめた健康管理に全般について
話をしていただきました。
部谷 祐紀
Yuuki Hidani
2019年10月10日(木)
一般的に知られている「バランスが取れた食事」を十分にとっていれば問題ありませんが、免疫機能の回復を考えた場合、ビタミン類、タンパク質、腸内環境の3点を意識するとよいでしょう。それぞれの成分や働きについて少しだけ紹介させていただきます。
粘膜の健康にかかわっているのがビタミンAです。菌やウイルスは粘膜から侵入してくるため、これらを防ぐためには粘膜が健康であることが大前提。ビタミンAはのどや鼻、肺などの粘膜を正常に保ち、ウィルスの侵入を防ぎます。緑黄色野菜(ブロッコリー、カボチャなど色の濃い野菜)やレバーやうなぎなどの動物性食品に多く含まれています。
もちろん、ビタミンAだけをたくさん摂取すればいいというわけではなく、バランスが重要であることは忘れないでくださいね。たとえば、精製されていないお米(玄米)や、お魚などは様々な栄養素が含まれています。昔ながらの和食は理にかなった食べ物なのです。
ビタミンCは風邪の予防になる、というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。実はこの効果については未だ論争が続いておりはっきりと判明していません。
しかしマラソンなど短期間に疲労困憊になるような肉体疲労がある場合は予防できることがわかっています。緑黄色野菜、みかん、キウイ、イチゴなど甘酸っぱいフルーツに多く含まれます。またビタミンCやビタミンE(植物油、ナッツ類、魚介類に多く含まれる)には活性酸素から細胞を守る働きがあります。
ビタミンDは免疫システムの働きを助け風邪やインフルエンザの罹患を減らす、と言われています。魚、キノコ、卵などに多く含まれています。穀類や肉類にはあまり入っていません。
また、ビタミンDは、日光を浴びることで皮膚上でも生成されます。特に冬は不足しがちなので風邪やインフルエンザが流行する季節の日光浴は予防に効果的です。またビタミンDは骨を丈夫にする働きもあります。余談ですが、冬の競技で日光を浴びる時間が極端に少ない選手は骨が弱くなることもあるそうです。
日光浴は夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度が推奨されています。
筋肉をつくる栄養素としてのイメージが強いたんぱく質ですが、実は筋肉や臓器だけでなく免疫抗体の材料になるので十分に摂取したい栄養素です。肉や魚、卵や大豆製品、牛乳など幅広く含まれています。
摂取した栄養素をしっかり吸収するために腸内環境を整えることも大切です。腸の働きを活発にすることにより消化吸収を促し、免疫力を高めます。野菜、きのこ、海藻に含まれる食物繊維やヨーグルト、チーズ、キムチ、ぬか漬け、乳酸菌飲料など発酵食品がおススメです。また腸はとても敏感な臓器です。
アスリートは合宿や遠征により環境が変わることで下痢や便秘になりやすい傾向にあります。そういった場合、食事だけでなく整腸剤を予防的に利用する場合もあります。またお腹を含め身体を冷やさないことも免疫を落とさないために大切です。
次回「免疫を高める食事」《後編》は、食事の注意点についてご紹介します。
(Vol.05へつづく)