感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。
JOKIN’S presents スペシャルインタビュー
教えて、
厳しい勝負の世界に携わる
プロフェッショナルの観点から
感染対策もふくめた健康管理に全般について
話をしていただきました。
部谷 祐紀
Yuuki Hidani
2019年9月27日(金)
仕事終わりの帰宅前にジムに行って運動したり、ジョギングをしたりするビジネスマンがいますよね。これは実はあえて体を動かすことで回復を促す「アクティブレスト(積極的休養)」の考え方に基づいた取り組み。疲労を感じる場合、逆に少し動いた方が回復しやすくなるというものです。
軽度の有酸素運動、たとえば「ゆっくり走る」、「泳ぐ」を20~30分行うことで血行が良くなります。また、疲労によって固くなってしまった筋肉の弾力を戻し、自律神経のバランスを整えるため、睡眠の質もあがります。
疲れたからといってただ寝てしまうよりも、身体を軽く動かした方が血液の流れが促進されて脳と筋肉にたくさん酸素を送ることができ、疲労物質の滞留を防ぐことができるというわけです。
「今日は疲れたから、なんだかちょっとだけ動きたい!」という気持ちになったことがある方もいると思います。その欲求は、実は体が求める理にかなった欲求なんですね。
アスリートは睡眠時間が少ないと起床時の疲労感が高くパフォーマンスも低くなります。ちなみにトップアスリートの平均睡眠時間は8時間ということが調査でわかっています。夜11時就寝の場合、朝7時に起床の計算。実はたっぷり寝ているんですね。
ポイントは時間を確保することだけでなく質を高めることにあります。特に眠り始めて90分間(ノンレム睡眠)をいかに深くするかが重要です。なぜなら、最初の90分は成長ホルモンがもっとも多く分泌され身体を回復させてくれるからです。最初の90分が深い睡眠なら、その後の数時間も質の良い睡眠になります。質の良い睡眠はホルモンバランスを整え、免疫を正常化することで感染症の予防に繋がります。
また、睡眠には嫌な記憶を整理したり消去する働きもあるそうです。「ふて寝」というものもありますが、案外理にかなった睡眠なのですね(笑)
質の良い睡眠の取り方を5つのポイントにまとめてみました。最近疲れが取れにくいという方、ぜひ実践してみてほしいと思います。
① 睡眠時無呼吸症候群ではないか確認する
チェックポイントはいびきが大きく度々息が止まっていることがあると家族に指摘を受ける、起きがけの眠気が強い、日中の眠気が強い、鼻呼吸が出来ているかどうか、など。肥満傾向にある人の病気だと思われがちですが、やせ型の人でもかかるので注意が必要です。思い当たることがある方はまずは医療機関に相談しましょう。
② 「夜更かし」も「早寝」もしない
就寝時間、起床時間、睡眠時間は極力変えずリズムを一定に。特に就寝時間は入眠後90分の質を確保するために定時にしたいところです。加えて、いつもの部屋、いつもの明かり、いつものパジャマ、いつもの音楽などルーティンをつくるとよりリラックスすることができます。
③「週末」に体内時計を狂わせない
睡眠リズムは崩れるのは簡単ですが、戻すのに時間がかかります。たとえ多く寝たとしても1~2時間以内にする。ちなみに仮眠は20~30程度にしましょう。1時間以上寝てしまうようならそもそも夜の睡眠が不足している可能性が高いでしょう。
④ 寝る前90分前に入浴する
人間は体の深部体温が下がる時に眠くなります。たとえば、40℃のお湯に15分の入浴で上がった深部体温は下がるのに90分かかります。炭酸泉や温泉は深部体温の上昇が大きいので低下する際に入眠しやすい。就寝まで時間が無い場合はぬるめの入浴かシャワーにする方がベター。
⑤ 寝る前の腹式呼吸
お腹をしっかり膨らませ、吐く時間を長くする、ことで副交感神経が優位になりリラックスできます。その方法を紹介しますね。まずは、パジャマなど寝る準備ができたら部屋のあかりを薄暗くします。リラックスして目を閉じ、横になります。そして、鼻から吸って鼻からもしくは口から吐く。吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹の力が抜けてへこむような呼吸を意識します。吸う時間の倍の時間をかけて吐いてください。たとえば、5秒で吸って10秒で吐くような感じです。腹式呼吸は5~10分おこなえるといいですね。腹式呼吸を行うことで副交感神経が優位になりリラックスするのですが、酸素が体に行きわたる、横隔膜による腸のマッサージになる、など体に嬉しいことがたくさんあります。
睡眠のポイントは以上です。
次回からは、免疫を高める食事について紹介します。
(Vol.04へつづく)