ジョキンズ

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2020年11月19日(木)

以前の記事、感染管理のキホン withコロナ「尿にもコロナ?」 を公開したところ、多くの反響をいただきました。
確かに、新型コロナウイルスに感染した方の尿にはウイルスが含まれおり、感染がどんどん拡大している今、非常に気になるところ。
しかし、怖いのは新型コロナだけではありません。
トイレが原因で家庭内感染が広まりやすいものにはノロウイルスもありますし、そもそも感染対策全般において尿や便というものは、感染リスクのあるものとして取り扱います。

今回は感染を広めないためのトイレ掃除といういうことで、気をつけたいポイントを紹介していきたいと思います!

①準備と、順番。

準備:
一番大事なのは準備!トイレいる菌・ウイルスを、部屋の中に持ち込ませないようにしましょう。

  • 事前の準備は非常に大事です。いくらきれいにしても、トイレの菌・ウイルスを部屋に持ち込んでは、感染を広げてしまうリスクが増えてしまいます。

    特にトイレは、水の跳ね返りが服につく可能性があります。グローブエプロンと、薬剤を使う場合は吸い込まないようにマスクもしましょう。 家族に病気の人がいてトイレを利用されているといった場合などは、フェイスシールドまで準備ができるといいでしょう。

    掃除道具は、除菌シートなど使い捨てのものが感染を広めにくくおすすめです。
    また、ゴミ袋を準備して、ゴミを部屋に持ちこまないといった工夫も効果的です

順番:
汚れを広げないために、掃除の順番は「きれいなところ」→「汚いところ」。

きれいなところもきたないところも一緒の除菌シートで拭いて、逆に汚れを広げてしまってる……!? なんてことがないよう、きれいなところ → 汚いところの順番で掃除をしましょう。トイレの場合は便座に遠いところから近いところへ掃除していくのがオススメです。

また、汚いところを掃除する際には、汚れ(有機物)をしっかり落としましょう。
除菌効果の高いアルコールや、ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)も、実は汚れがあるままだと除菌効果は大きく下がってしまいます
大事なことは目に見える汚れをとってから除菌。

また、洗浄と除菌が一緒にできる病院採用の除菌シートを使うのも手です!

② 高頻度接触面をきっちり拭き取り。

感染の多くは人の手を介します。だからよく手の触れる部分=「高頻度接触面」の掃除は非常に大事。 いつもトイレに行った際に触れる部分を思い出してみましょう。

  • ・トイレのドアノブ
  • ・便座のフタ
  • ・ウォシュレットのボタン
  • ・トイレットペーパーのホルダー
  • ・水を流すレバー

こういった部分、清掃・除菌は定期的にしていますでしょうか?

目に見える汚れがなくても、高頻度接触面には菌・ウイルスがいる可能性が高いです。 そして、見えなくても、このあと紹介する跳ね返りで汚れている可能性があるので、定期的に拭き取りましょう。

③ 「跳ね返り」を考えてしっかり掃除。

いきなりですが、こちらをどうぞ

全文英語ですが、どうだったでしょうか。これはイギリスのQS Suppliesというバス・トイレメーカーが作成した、トイレの跳ね返りをUVライトで可視化した動画です。いろんなところに跳ね返りがあり、インパクトがあったのではないでしょうか?

トイレ掃除といえば、便器や床を掃除して終わりという人も多いのではと思いますが、便座はもちろん、近くのアクセサリーや、壁にも飛んでいる可能性が高いです。壁までしっかり掃除をしましょう

また、跳ね返りといえばトイレを流す際に、汚物が巻き散らないようフタをされて流される方も多いかと思いますが、そのフタの裏側はどうでしょうか。
便座のフタは人の手がよく触れる高頻度接触面でもあります。忘れず掃除をしましょう。

④ いつ掃除したっけ? ウォシュレット。

ウォシュレットご利用の方、ノズルの掃除、最後はいつだったでしょうか?
ウォシュレットのノズルはついつい忘れがち。しかも水分が多く付着した状態で格納されるので、菌が繁殖しやすい状況です。 人の粘膜を洗浄する部分ですので、清潔に保ちたいですね。
製品ごとの掃除方法を確認して実践しましょう。

⑤ 嘔吐など、緊急時の対処方も予習しよう。

冬場の嘔吐は、ノロウイルス感染の可能性もあり、注意が必要です。 特に、ノロウイルスはアルコールに耐性があり、アルコールによる拭き取りや「シュッシュ」ことアルコール手指消毒剤では除菌できない場合もあります。
家庭内感染を広げないためにも以下のことに注意しましょう。

  • 1. まずは準備!

    • ・マスク、グローブ(2枚重ね)、エプロンといった個人防護具(PPE)
    • ・ペーパータオルなど吸水シート(新聞紙はハイターと相性が悪いので避けましょう)
    • ・ゴミ袋(可能であれば2枚)
    • ・バケツに1000*ppmに希釈したハイター(次亜塩素酸ナトリウム)

      *500mlのペットボトルに、キャップ2杯分のハイター

  • 2. 汚物がまきちらないように、ペーパータオルを被せ、その上から希釈したハイターをゆっくりとかけます。

  • 3. ペーパータオルごと汚物を回収し、ゴミ袋にまとめます。

    この際、汚物が残っていると除菌効果が減少するので、しっかり取り除きましょう。

  • 4. 除菌をしていきます。

    ペーパータオルを敷きその上からハイターをかけて、10分ほど待ちったのち拭き取りましょう。

  • 5. 掃除が完了したらPPEを外します。

    外側にはできるだけ触れないようにして、グローブ、エプロン、マスクを外しましょう。

  • 6. 最後に手指消毒も忘れずに。

    ノロウイルスはアルコールに耐性があるので、必ず流水と石鹸で手を洗いましょう。

以上、いかがだったでしょうか。
細かく見ていくと、気にしないといけないところがたくさんある!と思われるかもしれません。
確かに感染管理は、目に見えない菌やウイルスを相手にするので、きっちりしようとすると大変です。 ですが、正しい知識を知ってもらい、出来るところから始めていってもらえればと思います。

一緒に住んでる人が病気になったとき、嘔吐してしまった時に、
いきなり全てを完璧にとはできないことが多いでしょう。

日々の掃除中から少しずつ実践していただけたら嬉しいです。

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