ジョキンズ

感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。

Interview

医療従事者インタビュー

教えて、目崎さん!

Vol. 04
「感染の思い込みを壊そう」

感染管理の専門資格である
感染管理認定看護師である目崎恵さんに
感染予防のあり方について聞いてみました。

profile

目崎 恵

Megumi Mezaki

1996年より看護師として勤務。2012年に感染管理認定看護師(ICN:Infection Control Nurse)の資格を取得。病院内でヨガ教室を開催するなど、既存の仕事の範囲を超えて、アクティブに周囲を巻き込む行動派。プライベートでは専門学校1年生の長女と高校3年生の次女の二人の娘の母でもある。

2019年8月30日(金)

vol. 04最終回

感染の思い込みを
壊そう

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潔癖症の人は、感染しない?

毛むくじゃらのヨークシャテリアと短毛のフレンチブルドックを飼っています。
だから、家のなかは毛だらけ。
感染対策において、環境整備はとても大事なのですが、正直、我が家の家のなかはお手本とはいいがたいですね(笑)

でも、ひたすら掃除や除菌しまくればいいのかというと、そうでもないんですよ。ほこりや毛はこまめにとることを心がける、汚染した場所は汚れを落とす、良く触る場所はこまめに清拭する等、ポイントをしっかり押さえていれば、感染は防げる。

わかっていただきたいのは、潔癖と感染対策は違うということ。
正しい知識を身につけて、無理せず続けることのほうが大事だと思います。

「トイレより携帯電話のほうが汚い」という話を聞いたことある人、いると思います。
実際に菌数を調べてみると、ほんとその通りなんですよ。せっかくなので、よくある勘違いについて、少し紹介したいと思います。

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菌を殺す薬剤は、人間にも害があるということ。

埃がない家を目指すのは難しいので、そこまで頑張る必要はありません。
ただ、埃の中にはダニやカビ、細菌などもいて、吸い込んでしまうと体に有害なものもあったりするんですね。だから、埃はできるだけ少ないほうがいい。定期的な清掃は心がけたほうがいいと思います。

カビキラーやハイターなどの次亜塩素酸系の薬剤を日常的に使用する人も多いと思います。 その際に気をつけてほしいことは、換気。 殺菌効果が高いということは、人間にも少なからず影響があるということ。

強い薬剤を使って、部屋にすごい匂いが立ち込めたことはありませんか?
完全に殺菌したいとついつい濃くしてしまったり。でも、匂いがキツいと感じるレベルはよくない。目や気管支のことも気遣って、容量を守って使ってほしいですね。

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加湿器の水、なくなったらどうしますか?

家庭内で気をつけてほしいものの一つに加湿器があります。
基本的にウイルスや細菌は温かくて湿気のあるところが好き。加湿器は彼らにとって都合のいい環境なんです。

加湿器が原因になりうる感染症に、レジオネラ症というものがあります。
レジオネラ属菌に汚染された細かい霧やしぶきを人が吸入してしまうことで感染して発症。中高年に多く、重度の肺炎を引き起こす可能性のある病気です。加湿器以外にも循環式浴槽などでも発症が報告されています。

加熱式加湿器の場合は毎日でなくても構いませんが、超音波振動の加湿器を使用するときには、毎日水を入れ替えて容器を洗浄しましょう。レジオネラ属菌は60℃では5分間で殺菌されるので、水を加熱して蒸気を発生させるタイプの加湿器は感染源となる可能性は低いとされています。

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インフルエンザ、2回かかる人もいる?

インフルエンザにはA型とB型があることはよく知られていますが、AとBにもそれぞれ2種類があることをご存知ですか。
だから1回かかったからと油断してはいけないんです。
型が違えば同じシーズンに2回3回とかかることもあるんです。

そんな私もお正月に実家でもらってしまい、1月4日からの初出勤を休んだことも。こんな仕事をしているのに、インフルエンザになるとすごく恥ずかしいです。インフルエンザはとてもつらい。かかった方たちの辛さが身に沁み、いい経験(勉強)になりました(笑)。

子どもの制服の扱いを聞かれることもあります。
子どもって学校の階段とかに平気に座っちゃうじゃないですか。だからといって頻繁にクリーニングに出すわけにはいかない。もちろん汚いですよね(笑)。通学カバンの裾も汚いですよ。
子どもに「あちこち座らないようにね」なんていってもいうこと聞かないじゃないですか(笑)。そこに力を入れるより、考え方を変えて、汚いものとして認識して取り扱うことが大事だと思います。鞄を触ったあとは手を洗うとか、帰ってきたらすぐに着替えるとか、基本的な対策しっかりすることが大切です。

特に小さな子どもは道端のものを拾ったり、道やスーパーの床に寝っ転がったりと、汚れと菌まみれですよね。でもこれは免疫をつけているという見方もあります。
無菌状態の世界はありえない。私たちは菌と共存していきていかなきゃいけない。
あれもダメこれもダメと神経質になるのではなく、「食べる前は手を洗おうね」と、おおらかに見守りたいところです。

娘たちが大きくなってくると、あの頃のドタバタが懐かしく愛しい日々だったなと思えるようにも。
今もまだドタバタしてますけどね(笑)

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