ジョキンズ

感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。

Interview

JOKIN’S presents スペシャルインタビュー

教えて、部谷ひだにさん!

Vol. 02
「アスリートは風邪をひきやすい?」

厳しい勝負の世界に携わる
プロフェッショナルの観点から
感染対策もふくめた健康管理に全般について
話をしていただきました。

profile

部谷 祐紀

Yuuki Hidani

日本でも有数の管理栄養士および鍼灸・マッサージ師の国家資格を持つ日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。2009年より日本オリンピック委員会専任メディカルスタッフとして活動。ロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪では2大会連続で日本選手団公式トレーナーとして帯同。東京農業大学栄養科学科講師。「会社のトレーナー」として心と体を整える休養、食事、運動について社内研修や健康コンサルティングを行う。また小学生の娘がいることもあり、小学生の体力低下という社会問題を解決する活動も行っている。現在は東京五輪に向けて忙しい日々を送る。1979年生まれ、広島県出身。

2019年9月20日(金)

vol. 02

アスリートは
風邪をひきやすい?

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過度な運動は体に良くないってホント?

適度な運動は免疫力を高める、ということはみなさんご存知かと思います。
ウォーキングを日常的に続けると風邪(上気道感染症)をひきにくくなり、たとえかかってしまったとしても期間が短くなる、ということも報告されています。

これは、適度な運動が体温を上昇させ、血液の循環を良くすることで代謝を上げることや、免疫細胞が血流に乗って全身をめぐり、体内の異常細胞と出会いやすくなる効果と言われています。また適度な運動は生活習慣病や精神的ストレスを緩和させる効果もあります。

しかし一方で、過度な運動は逆に免疫力を低下させてしまうこともわかっています。つまり日々疲労困憊になるまで練習をおこなっているアスリートは免疫力が低下しがちで感染症に罹患しやすい状態が続いている可能性がある、というのです。

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ハードなトレーニングも大事だけど、
トレーニングのための体調管理がもっと大事?

強くなるためにトレーニングをしているのに、トレーニングよって免疫が低下し風邪をひいてしまう。
トレーニング効果がなくなるだけでなく、体力も時間も消耗してしまう。これでは本末転倒ですよね。

そこで近年では、アスリートが強くなるためには「ハードなトレーニングをおこなうための体調管理の方法が重要だ」という考え方が広く浸透するように。僕が任されているトレーナーの役割がここにあります。

僕たちスポーツ医学に関わるスタッフは、選手のコンディションを整えることが仕事です。これを「コンディショニング」と呼びます。コンディショニングの中でも感染症を防ぐ目的で免疫力を高めることや細菌・ウィルスに暴露しないような環境作りは大切なポイントです。

免疫が低下しがちなアスリートですから、菌やウイルスは特に要注意。日頃から、感染しないための生活習慣を徹底しています。たとえば、練習時にタオルやドリンクの共有はしない。練習後や食事前にはかならず手洗いをする。遠征など移動時はマスクを着用する。部屋の中を乾燥させない、適切な湿度を保つ、などです。

また毎日の入浴習慣がある選手の方が習慣のない選手より腰痛を発症しにくいという研究もあります。
入浴には温熱効果、水圧による循環改善効果、浮力によるリラックス効果などが期待できます。

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アスリートがおこなっている
疲労度チェックの方法。

アスリートはハードなトレーニングを継続しながらも免疫を落とさないよう可能な限り疲労を蓄積しないことが重要になるわけですが、まずは疲労の度合いを自分で把握することが基本です。そこで紹介したいのが、アスリートが毎朝起床時におこなっているコンディションチェック。その中でも特にかんたんな方法が脈拍と睡眠です。

◎朝の脈拍チェック
朝、目が覚めたらそのままベッドの中で心拍数を測ります。1分間に60~80程度が正常の範囲内だと言われています。いつもより高いと疲れているサイン。注意しましょう。

◎睡眠チェック
日中眠たくなる、朝起きてもスッキリしない、という状況は黄色信号。時々「ただの睡眠不足だから大丈夫」という人がいますが、睡眠不足を軽く見てはいけません。
睡眠不足は肥満や糖尿病、うつ病などのリスクを上げるだけでなく、脳しんとうと同じような眼球反応を示すことがあり、認知能力、注意喚起能力が低下するというエビデンスもあります。
決して無理をしないようにしましょう。

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疲労を蓄積させないために、
私たちができること。

アスリートにとって疲労はつきもの。そこで「疲労をいかに素早く取り除くか」ということが大事になるわけですが、疲労を素早く除去するために大事なことは、下記の3つです。

1:アクティブレスト(軽負荷の有酸素運動)
2:バランスの良い食事
3:十分な睡眠

回復もトレーニングの一環というわけです。次の回からそれぞれを具体的に紹介していきたいと思います。

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(Vol.03へつづく)