感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。
医療従事者インタビュー
教えて、目崎さん!
感染管理の専門資格である
感染管理認定看護師である目崎恵さんに
感染予防のあり方について聞いてみました。
目崎 恵
Megumi Mezaki
2019年8月23日(金)
高校3年生と専門学校1年生、二人の娘がいます。
この前、上の娘と出かけていて飲み物をちょっともらったんですよ。返す時にストローの口を付けたところを指でキュッと拭いたんですね。
すると、「お母さん、それやめて。口よりも手の方が汚いんだから!」と怒られてしまった。
そうなんです。娘の言い分は感染管理的に正しい。口よりもいろんな所を触っている手の方がウイルスや菌がついている可能性が高いんです。うっかりやってしまいました。
娘に教えたつもりはないのに、娘は知っている。私が日頃ブツブツ言っていることを聞いているのか、自然と彼女なりに学んでいるんだなとびっくりしました。
食事の前後でやってるテーブル拭き。
先日、モール内のフードコートで食事を食べたときの出来事。食事を終え、私が食べ終わった食器を返却している時、下の娘がテーブルを拭くダスターを取りに行って、拭いていたんですよ。
親の行動って、見ているんだなとドキッとした出来事でもありました。親の行動や家庭の習慣って、思ったよりも大きいのかもしれません。帰ってきたときに手洗いしている姿なんかも、自然と当たり前の習慣になっていくのかもしれませんね。
長女が、前シーズンにインフルエンザになってしまった時のおはなしです。
この時活躍したのが高校生の妹。
まずはドアノブなど姉が手で触っていた箇所を除菌しはじめました。そして、マスクとアルコール消毒薬を長女の部屋に設置し、マスクを着けて、手を消毒してから部屋から出てくるよう姉に指導していました。本人がマスクをつけていれば、自分は必要ないとわかっているのか、次女のマスク着用はなし。
これを誰にも確認せず自ら行っていたのです。
インフルエンザだからといって、家族みんなにうつってしまう事をあきらめるのではなく、適切に接すれば感染しないということを理解いるようで、頼もしく感じましたね。
やはり、私が日ごろぶつぶつ言っていることを子供ながらに聞いているんでしょうね(笑)
働きながらの子育てだったので、子どもたちには家にいなくてさびしい思いをさせることもあったと思います。
そんな中、お弁当だけは手作りでと頑張りました。
食事は子どもたちとの大事なつながり。私のこだわりとして頑張りたかったというのが一番ですが、バランスのよい食事は、免疫を高めてくれて、感染しにくい体をつくる源になります。そのお陰かどうかはわかりませんが、長女は小学校6年間、風邪もひかず皆勤賞でした。
実家に帰った時は、自分の母親と二人で絹さやのヘタを取ったり、ゆっくり下ごしらえをしたり、一緒に料理することも。食事は心のコミュニケーションのひと時でもあります。
今の若いお母さんたちは「キャラ弁を作って」と言われることも多いそうで、きっとすごく大変だと思います。
感染管理的にはキャラ弁づくりにはちょっと注意が必要だぞ、と思っています。
人の手には黄色ブドウ球菌というものが潜んでいるんですね。これは皮膚の常在菌。常在菌は腸内や皮膚に存在しており、外的な刺激などから私たちを守ってくれる重要な菌でもあるのですが、時に手を経由して食品につき、食品の中で増植して、熱や胃酸、消化酵素にも強い毒素を作ってしまう菌にもなってしまうのです。そうして起こるのが食中毒。
小さなうずらの卵に海苔を切ったり貼ったり。おにぎりをサッカーボールにしたり。見た目はかわいいキャラ弁ですが、食品を素手で触ると食中毒のリスクがあるので、手袋をしたり、細かな作業にはピンセットを使うなど、工夫をして取り組めるといいですね。
(Vol.04へつづく)