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医療従事者インタビュー
教えて、黒須さん!
感染管理の専門資格である感染管理認定看護師であり、感染制御学の博士。
海外での活動経験もある黒須一見さんのインタビュー連載第二弾。
第3回目のテーマは、家族を大事にするベトナムの人々について。
日本との家族の関わり方の違いとは?
病院内外でのエピソードとともに話していただきました。
黒須一見
Hitomi Kurosu
2020年7月17日(金)
家族が病院に入院したら、家族が付きそう。それがベトナムでの当たり前です。
現在の日本では家族ではなく医療施設が面倒を見てくれるシステムになっているのですが、ベトナムは圧倒的に看護師の数が足りないことと、人々の家族の価値観もあってこのような仕組みになっています。
「他人任せにせずに家族で支え合うっていいことだ!」と思える一方で、感染管理の面では家族が菌やウイルスを媒介する可能性が高まるというリスクもあるので、日本よりも注意が必要です。
ちなみに、ベトナム人のアシスタントになぜ入院した家族のお世話をするのかと聞いてみたら「家族を一人にしちゃうのはかわいそう」とのこと。
優しいなぁと感心する一方で、アシスタントの家族に何かあった時にすぐに休んでしまうので、職場としてはその点も考慮した上でもろもろの仕事を考えなければいけません。
「母が入院したので仕事休みます」はあたりまえ。家族の誰かが入院すると、家族みんなでシフト組んでお世話をするか、家政婦さんのように助けてくれる人を雇ってお願いするかという選択なのです。
ラウンドといって病院内を回る活動の際も、ベトナム人の家族のつながりの強さを感じるシーンをしばしば目にします。入院中の母親をうちわで扇いであげている息子さん。日本でも70年代まではこうだったのかなぁと想像しながら、日本の病院にいた頃を思い出します。
高齢の寝たきり入院患者さんのご家族があまり病院にきてくれなくて、オムツがなくなった時だけ家族に電話する看護師を見て、せつない気持ちになっていたこと。家族が常にそばにいて、支え合うベトナムの家族の姿を見ると、良い面も悪い面も含めて文化の違いを感じます。
ベトナムのご家族のお正月にお邪魔したこともあります。
ベトナムでは旧暦のお正月をしっかりお祝いするため、1週間しっかり休むんですね。
あるスタッフが、私が一時帰国しないことを知り、一人でお正月を過ごすのはかわいそうだって実家に誘ってくれたんです。20人くらいの親戚たちにまじって、お正月のお餅をつくったりして過ごしました。本当に仲が良いんだなぁとほっこりしましたね。
アシスタントが結婚した時には、田舎のほうにある新郎の実家まで出かけたこともあります。日本人がいるとわかると「記念写真撮りましょう」の猛ラッシュ! とにかくあったかいベトナムのコミュニケーション。最初はビックリするかもしれませんが、慣れてくると意外とクセになるかもしれません(笑)
(Vol.04へつづく)