感染管理の専門家の
知識とノウハウをご家庭に。
医療従事者インタビュー
教えて、目崎さん!
感染管理の専門資格である
感染管理認定看護師である目崎恵さんに
感染予防のあり方について聞いてみました。
目崎 恵
Megumi Mezaki
2019年7月26日(金)
はじめに私が感染管理認定看護師になった理由からお話したいと思います。
最初から感染に興味があったわけではないんです。20代の頃、患者さんと接していて「あれ、おかしいな」と思ったのが最初のきっかけ。
当時勤めていた病院で、入院している患者さんの多くがノロウイルスに感染してしまったんですね。
オムツ交換の時に手袋を替えないで別の方のオムツを交換していたような時代。今だとありえないことなのですが、20年弱前はそんな状況だったんです。
肺炎で入院中の30歳の女性がノロウイルスに感染して、先生から「流行り病になっちゃったね」と言われてしまったんですね。
「え、流行りで片付けちゃっていいの?」その時、ギョッとして、ハッとしました。
これは大問題だぞ、と!
このままじゃいけない!と、自分で学校に通って、感染管理認定看護師の資格を取得しました。一般の方にはあまり知られていませんが、感染管理を専門とする看護師資格です。
でも、資格を取っただけでは現実は一つも変わりません。医療の現場は本当に忙しい。やるべきことが山ほどある中で「手指衛生しましょうね」といっても、人の行動ってなかなか変わらないんです。
これは家庭でも同じですよね。家事や子どものお世話など、絶対にやらなきゃいけないことが山積みの中、感染対策って締切があるわけじゃないし、やらなかったからといって、すぐに感染するわけじゃない。
ただでさえ忙しい医療従事者は、感染対策が二の次になるのは当たり前。
だから私たちみたいな人たちが必要なんだ、改めて自分の役割が明確になりました。
「感染のほとんどは手を経由して起こるんです。だから、手指衛生が大事なんですよ」
「次の処置をおこなう時は、新しい手袋に付け替えてくださいね」
私たちの仕事は、こんな風に日常の注意事項を言い続けることだったりします。うるさい小言担当なんですよ。
でも、言わなくちゃいけない。感染して困るのは患者さんですから。
家庭でついつい口うるさくなってしまう母親の役割とかぶりますよね(笑)
感染対策って一人が頑張ってもダメで、みんなが意識を持ち協力することで、感染を広げないようにしていかなきゃいけないんですね。
私は今、リンクナースという看護師を育てる活動に力を入れています。院内の看護師さんに研修会をおこなって感染に対する知識を提供し、感染対策が実践できるよう支援を行っています。今年4年目なのですが、のべ50人が受講してくださり、現場で活躍してくれています。
また、感染対策は病院だけで行っていてもうまくいかない。患者さんは退院したあと、施設を利用する方もいらっしゃいます。地域における感染対策もとても重要です。
でも、施設には私のような専門の人はなかなかいない。そこで、保健所と連携して、施設の中で感染対策を中心となって行えるリーダーの養成を始めました。内容は、手指衛生や、手袋やマスクといった個人防護具の使い方など基本的な内容です。
この取り組みを始めてから、周辺地域の集団発生の報告数が減ってきたんです。また、院内ではインフルエンザによる集団発生も起きていません。あらためて一緒に感染対策に取り組んで下さる病院の職員、地域の方々に恵まれているなと実感しています。いつも助けてくださり、本当にありがとうございます。
(Vol.02へつづく)