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医療従事者インタビュー
教えて、黒須さん!
感染管理の専門資格である感染管理認定看護師であり、感染制御学の博士。
海外での活動経験もある黒須人一見さんのインタビュー。
第5回目のテーマは、ベトナムで活動することになった経緯について。
ふつうの看護師だった黒須さんがなぜベトナムで働くことになったのか。
背中を押してくれたまわりの人とのエピソードも交えて話していただきました。
黒須一見
Hitomi Kurosu
2020年2月14日(金)
感染管理の仕事を長くやっていると、後輩の育成を意識するようになります。
しかし、この仕事は 「新型インフルエンザの患者が出たから今すぐ病院にきて!」 と連絡があるとダッシュで向かわなければいけないようなことがあったり、院内外のいろんな関係者を巻き込まなければ仕事ができなかったりと、なかなかタフな仕事。
だから後輩探しが大変!
時として医師を説得しなければいけない場面もあるため、若い看護師よりもキャリアを積んだ看護師のほうがやりやすいと言われています。
他の認定看護師よりも平均年齢が高いのもこの仕事の特徴です。
それでも、頑張ってみたいと言ってくれる若い後輩が見つかり、無事に資格も取得。いよいよバトンタッチできるかなという時、一本の電話がかかってきました。
ベトナムに新しい病院ができるのでそこで感染管理の仕事をしてみませんか、という誘いのお電話。
1900床もある大きな病院とのことで、急いでいるので2週間以内に返事をくださいと言われました。考えてみますと伝えたものの、実はその瞬間に既に「行ってもいいかな」と思った自分がいました。
当時の上司である副院長に辞めてもいいですかと聞くと、困ると答えられてしまいました。しかし、仕事の詳細を話してチャレンジしたいと伝えると、いいじゃないかと賛成してくれた。
しかも「君がやらないなら、僕が引き受けるよ」なんてコメントまで(笑)。
「医師ではなく看護師の募集なので先生は不採用ですよ」なんて言いながら二人で笑いました。
ベトナム行きを決断してから、様々な手続きを踏んで内定まで5ヶ月。
そこから渡航まで半年くらいかかりました。
その時、私は48歳。
決して若くはない年齢での新しいチャレンジ。不安はなかったかというと、もちろんありました。でも、面白そうだという好奇心の方が勝った。まったく違うジャンルのことだったら尻込みしたけれど、感染のことだったので。
他の国の感染対策も見てみたいと思ったんですね。
でも実はベトナムには一度も行ったことがありませんでした。
一度下見を挟んで、実際に渡航したのは2017年4月1日。3月31日に、病院で退職の挨拶まわりとして、夜は仲のいい仲間たちとごはん食べて、その足で成田空港行ってホテルに泊まって、翌朝ベトナムへ発ちました。
実は他にもベトナムで働くことを力強く後押ししてくださった方がいます。
副院長にベトナムに行きたいと話した後、看護部長に相談にいきました。
退職してベトナムに行きたいといった私に「あなたの人生だからあなたの決断を尊重します」と言ってくださいました。ベトナムに赴任する直前の壮行会で病院の事務職員から「黒須さんがもしベトナムから戻ってきたときに再就職できるよう本部に働きかけていたよ」と聞きました。
私は何て素晴らしい上司に恵まれたんだろうと感じています。人の人生・キャリアって、いろんな人との出会いやつながりで、前に進んでいくものなんだと実感しました。
(Vol.06へつづく)