感染管理の専門家の
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医療従事者インタビュー
教えて、黒須さん!
感染管理の専門資格である感染管理認定看護師であり、感染制御学の博士。
海外での活動経験もある黒須人一見さんのインタビュー。
最後となる第6回目のテーマは、感染管理の看護師のキャリアついて。
「当時は遠回りだと思ったこともぜんぶ後で生きた」と語る黒須さん。
ご自身のキャリアを振り返りつつ語っていただきました。
黒須一見
Hitomi Kurosu
2020年2月21日(金)
ベトナムに行くと周囲に告げたとき「せっかく長く勤めたのに病院を辞めてまで、ベトナムに行くのはどうして?」とすごく聞かれました。
確かに私のように若いとは言えない年齢ではじめて海外協力の仕事をする人は多くないようです。
でも「若い時に行ってたらどうだったかな?」とも思うんです。
知識もスキルもなければ、何も教えてあげることができなかったんじゃないかなとも思いますし、その時の後悔を胸に「もう一度来て、次はこんな風に頑張るぞ」って二回チャレンジすることだってできるな、とも思います。
結局、どっちがいいかなんてわからないなと(笑)
感染管理の看護師さんたちに伝えたいことは「やってきたことは後でぜんぶ生きる!」ということです。
資格をとって感染対策専門の看護師になっても、感染のことだけを集中してやれるわけではなく、いろんなことをやらなきゃいけないんですよね。
看護師募集のチラシ配ったり、自分と関係ないことでも謝罪したり…中にはこれ雑用なんじゃない?と思うようなこともあると思うんですよ。
いま私は感染管理と看護管理の両方を任されているのですが、ベトナムの看護部長さんと話す時に「日本の現場では何をどんな風にやっているのか?」とすごく聞かれるんですね。
すごく具体的に質問される。だからいろんなことをやった経験がすごく生きる。雑用だと思っていたようなことでも生きる。
そう考えると、キャリアって面白いなとつくづく思います。
20代の頃、希望していなかった手術室配属になって早く抜けだしたいと思っていました。
結局8年間いたんですけど、当時の経験も生きてるんですよね。
ドクターと手術の話をする時、具体的に話ができるので信用してもらえるんですよ。
ちなみにベトナムの病院の人たちは日本への憧れが強いようで、日本のことをすごく知りたがってくれるんですよ。ラウンドの時も「日本ではこういう時どうするんだ」ってしょっちゅう聞かれます。
日本と環境もちがうから参考にならないよって言うことも多いんだけど、それでもいいから聞かせてくれ!って。
説明すると 「それはこっちではできない」 と言われがちなんですけどね(笑)
ベトナムでもよく話をしていることは、仕事のスキルを磨くことの大切さです。スキルを高めるために日々コツコツやりましょうと。日本の技術力を学びたがっている人がこんなにいるって初めて知って、自分たちの環境が恵まれていたんだということにも気づきました。
学ぶ環境があるって贅沢なことなんだということにも気づきました。
学んだら、ぜひ発信してほしいと思います。
この前もベトナムで国際学会が開催されたので、発表したんですけど、日本の人がいっぱいきてくれました。
日本の感染管理のレベルって上がってきているんです。でも日本人はシャイだし、なかなか国際学会で発表する機会をつくれていない。
もっともっと日本のことを、どんなことでもいいので、発信してほしいなと思います。
私も年に何回か日本に帰ってきて、学会やセミナーに参加しています。
やっぱり同じ仕事をして頑張ってきた人と会うと、元気をもらえるんです。でも、時々少し心配になることもあります。それは、日本の感染管理のレベル日本は95点くらいのハイレベルになってきているので、あとわずか少しをあげるためにしのぎを削っているので、辛い状況にいる人もいるんじゃないかということです。
95点から100点を目指すってすごく大変。
「よく頑張ってるよ」って褒めたりする機会が少ないんじゃないかなと。
ベトナムはまだ全然追いついていないんですけど、なぜか楽しそうにやっているんですよ。
ハイレベルになってきているからこそ、褒め合う機会が必要なんじゃないかなと思います。
これで、私の回は終わりです。
全6回、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!