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医療従事者インタビュー
教えて、黒須さん!
感染管理の専門資格である感染管理認定看護師であり、感染制御学の博士。
海外での活動経験もある黒須一見さんのインタビュー。
非常に多くの反響をいただき、今回、ベトナムでのお話を中心に追加のインタビューをさせていただきました!
第1回目のテーマは、ベトナムの病院での感染対策の仕事について。
思い切ってベトナムにやってきたものの、現地での仕事は順調に進んだのか?
当時のエピソードについて話していただきました。
黒須一見
Hitomi Kurosu
2020年6月26日(金)
日本の病院で25年間勤務した私がベトナムの病院で働きはじめたのは、2017年の春。現地の病院は思っていたよりも進んでいました。そして、いきなり医師からかまされたジャブ。「あなたには何ができるんだ?」と。
「感染管理的に何ができていて、何ができてないのかを調査したいので、まず院内を見させてください」と伝えました。
1ヶ月かけて1900床ある大きな病院のほぼすべての部署をチェック。検査や外来など40箇所くらいあるので、病棟メインで回らせてもらいました。
ベトナムに行って最初に戸惑ったことは春の厳しい気候です。日本を出発した日の成田空港は、小雪が舞っていて気温は7℃だったのですが、翌日のホーチミンはなんと37℃!病院には冷房がなく扇風機だけ。ラウンドという院内をまわる活動の時は全身汗だくに。暑すぎてとにかく疲れるんです。
新しい生活にもベトナムの環境にも慣れていないせいだと思っていましたが、翌年になっても状況は変わらず。「あ、これは慣れても疲れる!この季節が疲れるんだ!」ということに気づきました(笑)。
4月は乾季であり1年間でもっとも暑い時期。ちなみに5月の終わりから雨季に入ります。スコールが1日に何回か降るので日本より涼しい気候になるんですよ。
職場ではベトナム人のアシスタントとともに仕事をしています。院内をまわるラウンドの時、会議の時、いつも助けていただいています。
日本への留学経験がある方は日本の文化がわかっていて、私が考えていることがベトナム人に伝わるかどうか、受け入れてもらえるかどうか、ということまで親切に教えてくれます。
感染管理の仕事は、医療従事者の日々の行動や意識を改善したりする「人」への働きかけが大事な仕事。優秀な通訳さんやアシスタントさんのおかげで、言語だけでなく一般常識や文化の違いも理解しないとこの仕事は成立しないんだということを学ぶことができたように思います。
ちなみに、北のハノイと南のホーチミンでも、文化や価値観はずいぶんと違うんですよ。政治の中心地であるハノイの人はどちらかというとカッチリしているのですが、経済の中心地であるホーチミンの人は朗らかで親しみやすい。
私が勤めている病院はホーチミンにあります。まわりのスタッフはとにかく明るくて親しみやすい。感染管理的にそれが長所にもなり、短所にもなるのですが(笑) 人の特性を理解しつつ、違いを楽しみながら仕事に向かうことも、すごく大事なことだと感じています。ラウンドのたびに、記念写真を撮ろうと誘ってくれるスタッフのみなさんの明るさに、日々元気をもらっています(笑)
(Vol.02へつづく)